江藤サチ江(80)

ーこの写真を、なんで自分の大切な物として選んだのか。

あ、この写真を。
そうね、やっぱり、じいちゃんは先祖さまでしょ。で、私がお嫁に来てかわいがってもらったしね。ほれでやっぱりほら、先祖さまがあって私たちがいる、あなたたちがいるでしょ。で、それで、やっぱり大事にせんといかんかなと思ってね。
あの、おばあちゃんももちろんよかったけど、おばあちゃんの写真は向こうにあるのよね。こっち持ってきてないからね。
うん。で、やっぱ先祖さんは大事にして。なかなかいいおじいちゃんだったから。


ーいいおじいちゃんだったからっていうのは。

お父さんでしょ、私の旦那さんね。うん。この人もなかなかいい人でね。
あんまりほら、なんていうの、言葉でもほら、荒い言葉とか言わないしね。もうやっぱり、静かに。ほれで、優しかったよね。うんうん。
たいがいやっぱ、今私がこんなしてるのもやっぱりね、おじいちゃん、おじいちゃんのおかげでね。うん、健康にしてるけんね。もうありがとうございます。
元気でおりますから。ま、ずっとお守りしてくださいっていうな感じでね。


ー言ったらいっぱい思い出は出てくると思うけど。

うん。そうそう。でも旅行なんかにもね、やっぱあちこちよく連れてってもらったしね。あの、仕事してる間はどっこも本当行けなかったからね。
辞めてから、まあ、あっち行こうかなって感じでね。うん、あっちこちね。
ほいで、私の友だちなんかともいろいろ話しても、ほら、ああ、あんたよかねえ、もうそがんとこにね、私たちはどこも行っとらんよって子どもたちは言うしね。あんた幸せよって言うけん、そうよ私は幸せよって言う。


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で、やっぱりね、大事にね思い出として取っとかにゃいかんかなと思ってね。
まあ、あとやっぱり、私がこんなしてあるのはやっぱお先祖さんのおかげでね。
じいちゃん、ばあちゃんね、お父さんのおかげでやっぱ、こんな元気にしておられるけんね。もう。
幸せと思います。


ーそれは最近、感じるようになった。

そうね。あの、そう。あの、おる間はなんとも思わんかったんよ。
いなくなってからね、ああ、やっぱりなるほどなて。
いる間はなんにも思わなかった。普通にもう、普通の当たり前に思ってたけどね。
亡くなってからやっぱり本当ああだったな、こうだったなって思ってね。
やっぱりね、亡くなってみないとわからない。おる間はわからない。
でもね、うん、そうそうやっぱり亡くなってから、最近やっぱそうだね。ああやっぱこんなしておられるのはやっぱおかげかなって思ってね。
うん。最近やっぱ思うようになったね。うん。
ねえ。
あんまりほら荒げたことも、ね、荒い言葉使ったこともなかったしね。
ああ、うん。そうね。やっぱり、本当いる間は思わなかったなあ、当たり前と思ってた。いなくなって初めてね。
そうよ、まあ、あとは言ってくれるとそう、そうわかるけどね。


ーじゃあそういう風に、亡くなってから感じたわけね。

やっぱりね、大事な思い出はね、ちゃんとやっぱり、ちゃんとこう頭入れとっとたい。別れてね、こんななってみてね、ああとわかるわけよねえ。うん。
で、まあ若い頃いて、現役の頃は忙しい、仕事でね忙しいからね。
あんまりなんでもねえ。まあ今からかなあと思ってた矢先にね。あと4,5年はね、大丈夫と思ってたのよね。そうね、もう急だったからね、仕方ないたいって思ってたね。
もうね、みんなからも、やっぱり、あのおやっさんおやっさん言われてね、うん、慕われとったみたいよ。うん。


ーずっと一緒にいたもんね。ずっと一緒にいたもんねおじいちゃんとね。

うん。
あんたたちもね、もうちょっとね、もうちょっと大きくなるまでいたらね、あのわかったかもわからんけどね。小さいときはただもう普通の話するだけでね。なんもわからんだったけどね。
ほいで、ものすごい時間には厳しかった。うん。やっぱあの、軍隊に行っとったけんね。ほいでやっぱりもう必ず5分前、5分前ていうことでね。
それは大事なことと思うけどね。私なんか、ほら、5分前って最初から言われてたけんね、あの結婚してからね。


もうほんと、私なーんも知らずにほらお嫁に来て、なーんもわからんで。ほんと料理もわからん、なんにも家のこともわからんしね。なーんもわからない。そしてもう、必ずもう5分前って言われた。で、どこにでも出かけるってなるとね、ほら待たせるとやっぱ機嫌が悪いわけ。5分前って。でもずーっとそれでしてきたからね。でも、あの人たちはどうしてもね。ほいで私、人を待たせるっていうと嫌いなのよ。いや、友だちとほら10時って約束するでしょ。そしたら55分にはもう必ず、ほらそこ現場に行かんと気がすまんわけよ。
うんそれだけ、やっぱりねえ。ほいで時間も大事って思うね。時間には厳しかったよ。どうしてあんなになったかなあと思ってね。あの人も時間がね。
時間には厳しかった。絶対人を待たせたらいかんっつってね。ほいでもう、乗り物でもほら、バスがバスでもね乗ろうと思ったら、必ず5分前には行くようにね。そんなところはやっぱ厳しかったね。あとはもうそんなにね、うん。まあ、まあ普通の生活ですよ。うん、特別なあれじゃない。普通の。


ーおじいちゃんと一緒に過ごしたのがやっぱ大切な思い出というか、大切な時間だったってことよね。

うん。そうそう。やっぱりね、それは確かにあったね。


ーで、それがあるから今が、今のおばあちゃんがあると。

そうそう。そうそう。うん、それがあるから今こんなして元気でいれるわけよね。うん。それは確かだね。やっぱりおかげさまでいうこと。やっぱお先祖さまだよねやっぱうん。おかげさまでこんなして、うん。
小さいときはほら、両親と一緒にいなかったからね。もう3歳くらいからほらおばあちゃん子だった。そしてずーっとそれで育って。まあいろいろね、まあいやなこともあったしね、辛いこともあったけどね、もうそんなこと忘れてね、うんうん、今は幸せだからもう。今が一番。今幸せだからなんも言うことない。ありがとうございますって。
だよねえ、やっぱり。やっぱり健康が一番よね。そんな思って、健康には気をつけてるつもりだけどね。まあ生身だから、いつねどんなことがあるか、これはわからんけどね。いろんなことがありましたよ。


ーそしたら、今度はおばあちゃんの。

わたくし。


ーうん、おばあちゃんの、これからやりたいこととか、どうやって生きていきたいとか。夢だったり目標。

うん、今からやりたいこと、ああ生き方、生き方ね。うん。
やっぱりそれは、もう、やっぱり健康が第一でしょうね。それと、まあ感謝の気持ちを忘れないこと。ありがとうございますって。
で、私の母がね、99歳、あと1ヶ月で100歳だったんだ。その亡くなったのにね、まあここもほらわりと、ぼけてなかったしね。ほいでも、必ず、あとは言葉もほらあんまり出ない、数少なくなる。ほいで、看護師さんなんかがいろいろほら手伝ってくれて、こうして、必ず手を合わせて、もうあんまり声が出ないけんね。あの靴とか履かせてもらったりうん。
感謝の気持ちをやっぱ忘れんね。うん。もうそれ。健康でみんなに感謝、ありがとうございます、感謝の気持ち。それが一番大事かなと思う。


ーそれを持って生きていくってこと。

そうそう。うん。
もうやっぱり、感謝の気持ちを忘れたらだめね。うん。ありがとうございますは必ず。
まあ健康と、そうね人様に迷惑かけない。うん。
まあ自分のことやれるだけは自分でやって。
まあ夢って言えばもう、もうそのくらいのもんよね。別にほら、まあ、ちょこっとでも行けたらそのへんでも行こうかなっていうくらいで。そいで、もう贅沢とか考えてない。
食べて行けたらそれでいい。まあそうね。うん。それくらい。
特別ほら、あれしたかったこれしたかったって思うことはあるけど、もう今さら言っても仕方ないしね。で、今からやっぱできるだけのことをして、健康で、感謝の気持ちを忘れないていうか。人様に迷惑をかけないていうか。そいで生きていけばもう。まだ若かったら、まだ今いっぱいあるよ。やけどもう。


ーまたおじいちゃんいたら違ったかもしんないしね。

もうそれでいいと思うよ。健康で、周りに迷惑かけないで。で、感謝の気持ちを忘れないていうことでね。そして生きていけたらそれでいいと思う。あんまり高い望みはない。
ね、あのお友だちもやっぱほら遊びにきてくれるしね。
うん、そしてもう、あれしたらこれしたらってやっぱほら若い友だちなんかきてね。あれしたらこれしたらって言ってくれるけんね、あんたたちがそんなんしてくれるけんね、私もぼけんですむよっていうふうに。やっぱりそれもほら、感謝の気持ちよね。ありがとう、ごめんねありがとうって言ってからね。で、もうなんかかんか手伝ってくれるしね。
うん。それでいいと思ってる。別にそんな大きい望みはない。
もうあんたたちがそんなしてきてくれるけん、これもありがたいことだしね。ほんとよ。もう誰もほら、よりつかんようなったらね、うん。時々でもほら、ね、会いにきてくれるけん、もうそれでもう十分。
それこそもうみんな仕事あるけん、そんなにね簡単にほら、遊びにおいでって言ってもこれんけどね、やっぱほら。


やっぱり、嬉しいよ。
ほんとやっぱりだれもいなかったら寂しいと思うよ。子どももいない、孫もいないって言えばね、ただほら。なんちゅうか自分1人だったらね、かなり寂しいと思うよ。うん、ほんでやっぱり家族は大事と思うよね。家族があって、やっぱほら、孫がおる、子どもがおる、ひ孫がおるって感じでね。うん、でやっぱり、家族も大事だね。家族は大事、うん。
いやなこともあるよ、うん。だけどやっぱり家族って大事なもんだと思うね。いいことばっかないよね。誰でも一緒。
もうほんと私は幸せです。このまま生きていけたらなんも思い残すとこありません。大丈夫です。ありがとうございます。


ほんでもういいことばっかです。悪いことない。いいことばっか。もう幸せです。なんも言うことない。



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