馬目亮(28)

ー写真の方を

これまじでくだらないんだけどいい。


ー大丈夫。
なんか結婚指輪とか嫁さんの写真とかじゃないよ。


ーなんの写真なのかってことと、なんでその写真を大切な物、自分の人生の中で一番大切なものとしてて選んできたのか。

これは、仮面ライダーのベルトなんですけど、これがなんの仮面ライダーのベルトで、なんかどういうギミックを持ってるのかとかは別に説明しなくていいんだよね。
これはね、この、この仮面ライダーがつけてるベルトなんだけど。まあこれがまあ一番大切な物っていうか、まあそうだな、そうね。まあ、ちょっと、まあ大切なものとしてあげるんだったらこれかなって思ってて。
まあ、これが、まあ俺仮面ライダー好きなんだけど、これがベルトとか仮面ライダーのものだとかっていのは別にどうでもよくて。これを大切なものとして挙げた理由としてはですね、どこから話そうかな。

なんかね、これはね、今の、結婚した奥さんと付き合ってた、初めくらいに買ったものなんだけど。そもそも俺仮面ライダーすごい好きで、まあちっちゃいころからずっとさ、見てて、朝もずっとやっててさ。こう自分の日常のように普通に見てて、あんまりこう仮面ライダーが、好きだっていう感覚がなかったの。まあ、なんつうのあのもう人生の一部みたいな感じになっちゃってて。
で、あの、嫁と付き合って、それで、あの、嫁にね、なんかまあやっぱ付き合った当初だからさ、自分の好きなものとかさこだわってるものとかを話す機会とかがあるじゃん、やっぱりさ。そういった時になんか俺これが今欲しいって話をしたんだよ。
で、まあ仮面ライダー好きなんだねって話になって。で、その時に俺、あんまり意識してなかったけど、あ、俺仮面ライダー好きなんだなって思ったのその時。

で、あの、まあ結局何が言いたいのかって言うと、俺多分もともとそんなに自分と会話するのが得意なタイプじゃなかったから、余計なんだけど、その今までこう当たり前としてきたものっていう、今までこう当たり前としてた、ことを、初めて、なんていうのこう好きなものだなとかさ、そう初めてこう認識できたっていうのが、実感できたっていうのがこれなのよ。
で、なんかけっこうそういうのって、その先の就職活動とか、今の人生観においてなんかけっこう大事なことだったっていうか。なんていうの、こう会話するようになったというか、そっから自分とね。そういうきっかけを与えてくれたっていうことで、まあ大切なものっていうか、まあ思い出深いものかなっていうことでこれを持ってきた。
別にこれの機能がどうとかそれは別にどうでもいいっていう話かな。


ーその当たり前だと認識してたことを実は大切だったって気づいたのは、仮面ライダーに関してっていうよりもっと全体的な意味で考えるようになった。

そうそうそう。
あの、まあこれ、このベルトだけの話でいうとたしかにきっかけとしては仮面ライダーだけの話なんだけど。なんか、もっと、もっといろいろ考えなきゃいけないことってたくさんあって。
なんだろ、例えば、あーんと自分が、まあ就職活動の話だったらまあその自分がなんかどういうことを大事にしてきてなんかもの作ってんのかとか、なんかどういうことが大切で社会貢献したいのかとか。
なんかさ、世の中ってさ、口で言わなきゃわかんないことって山ほどあんじゃん。文章にしたりとかさ。でさ、やっぱ今までさ、感覚的にさ、野生のさ、あのなんつうの、類人猿のような暮らしをしてきたから、論理的にものこう考えて説明するってことがもう欠落してたから俺は。
だから、そういうのでまあ考えるようになったかな。


ーそういうじゃあきっかけを与えてくれたものという意味で大切なもの。

そう。ごめんなんか深掘れない。
なんかもっとさ、嫁さんの写真とか結婚式の指輪とか持ってくると思った。
残念。なんか俺は逆に持って、絶対ちょっとそれはやめようと思ってたんだよ。


ーそれはなんで。

いやあ柄じゃないじゃん。そういう、そういうちょっとさ、ちょっとなんて言うんだろう、あの痒くなっちゃうやつは。
まあ、いい、それもそれですごい素敵だけどね。俺はちょっと恥ずかしいからやめとく。


ー他にもいろんなきっかけとか考えが変わる瞬間ってあったと思うんだけど、その中でこの写真になったのは、そこがやっぱ一番大きかったってこと。

そう。
で、しかも、あのね、俺ね、あの、ずっと染色ってわかる。あの着物とかさ布染めたりとかするやつね。もともと俺あれがやりたくてね、こっちの世界っていうかあの美術の大学行こうって志してたんだけど。
まあもっと前の話すると、そもそもただ単純に美術大学に行きたいっていう感じで志して、で、そんなかでまあそのテキスタイルデザインっていうのを見て、ああちょっとやってみたいなって思って三浪するんだけど。

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あの、要は今さ、ここでベルト見せたのがちょうど嫁さんと付き合い出したのが俺四浪の時なのよ。で、その時に、あの、まあこれをきっかけにまあ自分で仮面ライダー好きなんだなとかおもちゃ好きなんだなっていうのが、まあ改めて気づくわけなんだけど。
その時に、志望を、目指してるところをガラッと変えたのよ。あのテキスタイルからプロダクトデザインに変更したんだよ。あの、志望を。まあ併願すりゃいいじゃんって思うんだけど、テキスタイルと、ある美大のプロダクトとテキスタイルって併願できないの。
だから、俺プロダクトに行きますって言って、プロダクトに行ってベルト作りますって言って。で、変えたら、変えてまあプロダクトの道に変更したっていうので、まあ自分の人生もけっこうがらっと変わっちゃったわけじゃん。道それちゃったわけじゃん。
もしかしたら布の世界に行ってたかもしんないんだけど、こっちのプロダクトの世界に来ちゃったから、そういう意味でも、なんて言うんだろう、気づいたじゃないけど夢も気づいちゃったていう。


ーじゃあ大学、その受験ていう、時期ていうのもタイミングていうか。

そうそうそうそう。そうね。


ーそこで、じゃあ、変わった、時期っていうのも大切な。

ああ、そうかもね。もしかしたら、タイミングがちょっと遅かったりとかしたら、またこうやって、こうやって喋ってることもなかったかもしれないもんね。
京都とかの変な工房に弟子入りしてたかもしんないもんね。


ー何か他にこの今の写真に言っておきたいこととか言い足りないなっていうことがあったりしますか。

いや特にはないですけども。


ーそしたら次は、自分が今、将来なりたいこととかなりたい姿とか、やりたいことっていうちょっと夢について。

ああ、最近はなんだろうなあ。


ー強く思ってるものならなんでも。近くても遠くても。

最近思ってるのは、最近会社のあの、周りの人とかにもよく言ってんだけど。俺さ広瀬すずになりたくて。めっちゃかわいいじゃん広瀬すず。ああかわいい子になりたかった、かわいい子に生まれたかったなあって思って。まあそれは冗談なんだけど。
なんだろうねえ。
自分の将来なりたい姿。


会社入る前までは、俺さ、まあ今の仮面ライダーの話じゃないけど。ああなんか仮面ライダーを作りたかったんだよねえ。まあでも今は違う会社に入って、まあやりたいことかあ、そうだなあ。
すごいちっちゃいことで言えば、まあ一人前に働けるようになりたいってとこから始まって。大きいところでいうとなんだろうね。


ー仕事とかじゃなくても生活全体で考えてもらって。

ああそうか、仕事で考えちゃったわ。なんだろうなあ。
まあ有名になりたい。有名になりたい。
バカ、俺超バカ。


ーそれはどうして。
かっこいいじゃん有名になったら。有名になったらかっこいいでしょ。あれだよ、犯罪者になるとか、新幹線の中で身体に火つけるとかじゃないよ。

うーんとねえ。今でも、その聞いてくれたことに対して、その答えになってるとかどうかわからないけど。なんか最近思うのが、俺が今いる、いる会社のそのフロアっていうのはほぼほぼ、なんだろう、営業さんとかが多くて、なんだろう。99%デザインって何って思ってる人たちばっかなの。
で、今まではさ、俺は逆のところにいたわけよ。デザインのことを知ってるやつらの中でもまれてきたわけよ。だから全然ね、価値観が違うのよ。
で、なんだろう。
なんかかっこいいデザインのものは使いにくいとかさ、なんかデザインのことばっか考えてるとダメだみたいな、なんだろう、なんかけっこうめちゃくちゃな理論を持ってる方々がけっこう多くて。なんだろう、使いやすくすることもデザインなんですよっていうのを説明するのもちょっと難しいくらい、ちょっと畑が違うというか。

でもなんかそれってすごい新鮮で。あの、なんだろう。
例えばさ、デザイナーの人とかさデザインやってる人がさ面白いって思うものってあるじゃん。でもさ、普通の人からしたらそんなの何が面白いんだよ、売れるもん作れよって思うのもごもっともじゃないですか。でさ、やっぱさ、デザインとかそういうおしゃれなものに揉まれてきたからさ、なんかそういうのわかんない人が悪いんだくらいに思ってたの俺は。日本はそういうの疎いからもっとみんながデザインのことわかるようになって、おしゃれなものが世にまみれたらいいなくらいにおもってたんだけど。なんか最近それってけっこう乱暴な考え方だったのかなって思うようになって。
あの、そういうなんだろう、デザインのこととかよくわかんない人たちのことを、あんまりこうないがしろにして考えてもダメなんだなって。だから、そういう人、人とかのことも考えたりとか、してもの作って、作っていけたらいいと思う。


ーそれはどういうタイミングで思うように。

ん。
あ、どういうタイミングで思うように。
それは、まあ配属されたばっかの時、けっこう思って。というのもやっぱさ、なんだろう。まずそもそも何て言うんだろう、なんか美術大学出身ていうのがなんだろう、でやってきたのがやっぱなんて言うの宇宙人がやってきたような感じでやっぱ見られて。
そういうのに揉まれてたら、まあなんか、そういう風に考えるようになったかな。
あのさ名前のない絵の具って知ってる。あのさ2012年かなんかの、デザインアワード、あのコクヨデザインアワードの最優秀作品なんだけど。えっと今年の10月か11月くらいに確か新商品で出んのよ、限定なんだけど。でさ、俺すごい好きなんだよ。
あの、要は、あの絵の具に名前がついてなくて。こうなんて言うの、赤とか青とかで、なんて言うの、色でこう書いてあって。

その、例えばそれにさここの絵の具にオレンジ色って書いてあると、目の前のオレンジじゃないオレンジが出てきてもオレンジで塗っちゃうけど、目の前のオレンジの色って本当は違うじゃん。空の色もさ、水、その目の前の水も水色じゃないじゃん。自分で考えて、色を作れる絵の具だよみたいな。自分で名前、みたいな絵の具なんだけど。超面白いなって思ったんだけど、普通の人からしたらわけわかんねえだよなあれ。なんつうだろ、まあ絵の具出したら終わりじゃんみたいなさ。
いや、なんかそれが、それをきっかけでけっこう強く思うようになったかも。なんかもともと思ってたんだけど、それを、そういう話を聞いて、なんか、まあ確かにまあそういう考え方もあるよなと。
なんだろう。オシャレなものとかデザイナーがいいなって思ってるものだけが全てじゃないんだなって。いやまあ思ってたけど。でもなんか強く、ちゃんと実感できるようになったのは、それがきっかけかもな。だったかな


ーそんなところですか。

そんなところかな。答えになってるこれ。
なってる。俺の話つまんないよね。ごめんね。


ー全然全然。だいたいみんなそれ言うんだよなあ。話すと。

いやだって、だってさ、俺の人生なんて超平凡じゃん。100点満点だったら50点ぐらいの人生送ってるからさ。超面白くない俺の人生って。
いやでもよく言われる。なんか深ぼったらいろいろ出てきそうな感じ、そういう厚みのある人生を送ってそうな風には見えるでしょ、一見。でも実は俺の深さってそんなに、あ、深くないか、浅ーいやつ。あの洗濯機の下にさ、こういう枠あんじゃん。水出ないようにする。あれくらい、深さ。


ー今持ってる夢っていうのと、今さっき出してもらった写真、大切なものっていうので自分の中で何か繋がりとかそういうものって感じたりするかな。

まずは、昔、その、このベルトと出会う前の自分と比べると、やっぱなんかこういろいろ考えるようにはなったんだなっていうことが一つ思って。昔と比べて。
多分昔はこうぼーっとこう女の子のおっぱいのことだけしか考えてなかったけど。今はけっこうそういうことについて考えるようになったかなって思うのと、やっぱり言葉にしたりとか、論理的に考えてちゃんと説明できるようになんないと、やっぱ人ってわかってもらえないんだなっていう風に思ってるのが、ちょっとなんていうの、こうそのさっきの話とちょっと似てるところかなって思ってて。結局なんか感覚でいいなって言ってても伝わんねえんだよなっていう。

でも、まあいつになるかわからないけど、話を、じゃあ今の二つの話をまとめると。まとまるかどうかわからないけど。全然考えながら喋ってないからまとまるかどうかわからないけど。
まあ、やっぱもっと自分と会話してあげて、もっと何が大切とか何が大切じゃないとか、多分きっとこれから価値観ていうものが、まだ二十代、二十代の後ろだけどまだまだ成長過程ですと。で、その中でも今ある状況、今いる状況で、まあそのデザイナーが好きだと思ってるものばっかりじゃないんだよっていうさ、側面にも出会えたわけだから。
まあ今いる状況とかの中、その、この場がやだとかさ、もっと違うことやりたいなって思うんじゃなくて、まあ今いる場所もさ楽しんでさなんかこう考えて学べていけたらいいなって思う。なんかまとめようとしちゃった。


ー他に言い足りないこととか言っときたいこと。

そうだなあ。でも答えはないですよ。何がいいのか何がダメなのかとかも。もしかしたら今思ってることも明日嘘になっちゃうかもしれないし。そういうさこう言い切れない自信のなさっていうのが多分俺のダメなとこなんだけど。自分に自信がないところが多分、あんまりよくないところだと思うんだけど。
まあ俺四浪もしてるからさ、もうなんか自分のペースでさ、遅くてもいいからさ、着実にこう亀さんのスピードでもいいからさ、着実にいろいろ積み上げてこういきたいなってまあ思うけどな。
そんなとこかな。