匿名希望(23)

ーではまずは、この写真をなんで大切なものとして、自分の大切な物として選んだか

うーん。そうですね。チューバっていうのはわりと僕が目指してる生き様、これチューバのマウスピース、チューバっていう楽器の、僕がずっとやってる楽器の、金管楽器のマウスピースっていう口に当てる部分なんですけど。
これは高校一年生の時に買って、今までずっと使ってるもので。あんまり僕、ものをずっと一つのものを大事にとってるってことはあんまりなくて、数少ないもののなかから、ああこれやなって。

で、ものとしてというよりは、なんかチューバって楽団の中では1人か2人かいればいいかなくらいのポジションで、けっこう、あの、しかも裏方で、地味なんですけどいないと困るみたいなポジションで。
で、トランペットとかサックスっていう花形、そのへんのものとは対局に位置するんですけど。だからなんか縁の下の力持ち的なものなんですね。普段から。
で、けっこう今までの、その、音楽人生を振り返った時に、なんか、ちょうど、このお話をいただく前から、なんか音楽以外でも自分が所属するコミュニティではチューバ的なポジションでいたいなと考えるようになって。


ーチューバ的なポジション。

やっぱ、ぼくは表立ってなんか、すごい花形ポジションにいて、何かこうキラキラってしてみんなを引っ張るみたいのはどっちかというと苦手で。というよりは見えないところで、大事なポジションというか縁の下の力持ちとして、その自分がいる組織で自分を位置づけていたいなっていうのを最近考えるようにしてて。
なので、なんか、そういう、一種の生き様みたいなのもちょっとこのチューバに学んだかなっていうのがあって、これを選びました。


ーなるほどね。それはいつから考える始めるようになったの。裏方的な。

うーん。そうですね。楽器吹いてるときは常に考えてましたけど、それを音楽以外の場所でもそういう風に振る舞いたいなって思ったのは、いつだろうな、うーん今年かな。3月くらいですね多分。

やっぱり、入っていた研究会もちょうど終わり、去年やってたTEDxも終わり、去年はサークルの幹部もいくつかまあちょっとやってて、ってことで、なんかそれも終わり、いろいろ節目だったんですね。この去年の、前年度が終わって。
で春休みになって、じゃあ学生生活半分、学部生生活半分終わって、俺この先何したら、何したいんだろうなってちょっとね、とにかく今まではいろいろ予定を入れまくってた学生生活だったんで、ふとそういうのが全部ある程度一段落して、じゃあこれからどうしようかな、とかどういう風にしたいのかなって考えていたんですが、そういう中でこの考えになりましたね。


ーなんだろう、それは、そういう風に一段落した時に思ったんだけど、それってチューバをやってたからそういう風に思ったのか、それともチューバをやる前からそういうのが自分の中にちょこっと実はあってみたいな感じなのかな。

チューバをやる前かあ。そうねえ。いや、チューバによってですね、多分。
やっぱり割と学生団体というかその吹奏楽っていうまあマイナーなのかな、わかんないですけど、マイナーでもないか。ただまあだけどうーん、割とチューバできるっていうのは、人口っていう意味では、チューバ人口っていう意味ではけっこう重宝がられるんですよ。やっぱり吹く人が少ないから。
だからその中でやっぱりある意味、自分にしかできないことの一つかなとか思って。その、楽団においては。やっぱ替えがきかないものっていうのはちょっと僕の中ではあんまり関わりを持ってなかったものなので。
やっぱそういうところで意識するようになったんだと思いますね。


ー目立たないけどその替えがきかないものというか、いないと困るみたいなね。

そうですね。


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ーそれが、楽団の中のチューバってのと、自分がこう世界の中に、団体の中であるべき、というか目指したい姿ってのが重なってる。

うーん、そうですね。


まあちょっと離れますけど、なんで楽器じゃないかって楽器はくそ高いんですよ。楽器は。チューバけっこう、安くて50万、60万とかで。
で、場所も取るから。で、本当は大学入る前は二度とチューバ吹かねえって思ってて、まあ浪人もしてたし。って思って、新しいことやるんだあとか思って。


でも実際新歓とか行ったら、やっぱ吹きたくなっちゃってみたいな感じで。で、他にもやりたいこととかあったから結局チューバ自体は買わずに、ちょっとこっちの方がコストだなって自分当時思ってて。だから結局マウスピースだけ買って、楽器は普通に高くて買えないから、ずっとマウスピースだけ自前で。楽器は当時高校のときは部活の、今はサークルのを使っていますけど。
なので、それしかないっていう。


一言で言うとなんだろうねえ。


ー目指すべき姿というか、を示してくれたものみたいな。

一言かはわかんないですけど。
そうですね。まあ、ある意味一つの道しるべかもしんないですね。


ーどうして目指すようになったのかってところをもうちょっと詳しく。なんでチューバから感化されたんだろう、その時。

うーん。まあいろいろ、なんかいろいろがあるけどなんなんだろうなあ。まあいろいろ所属してて、なんてですかねえ見るからにスタータイプみたいな人とか、率先してこうみんなの前に立つ人とかを見てて、なんかちょっと、なんかあまりそれは違うかなあとか思って。
やっぱり見えないところで、やっぱ実は、そうだなあ。例えばまあサークルにしても、全体の場では何もしてないように見えて、実は困ってる人がいたら、例えば練習終わった後なんかご飯誘って、どうしてるのって相談聞いて、時間とってあげてる先輩とかがいて。ああなんかやっぱこういう人で実は組織とかってのが支えられてんだなってのは見てて思って。

あと一方で例えばそういう、トランペットとかサックスのような花形ポジションってあるじゃないですか。なんか坂井研とか割とそういう人が多くて、そういう風になろうとする人が多い中で、うーんでもやっぱそういう人も大事だし、人を動かす上ではすごい大事なんだけど、やっぱ俺が目指すのはそっちじゃないかなってなんか思ったんですよ。
だから、まあ前の自分の研究会も全員が全員そういうわけじゃなくて、やっぱり地味にコツコツ、なんか家の中引きこもってずっと絵書いてる人もいたりして。
で、そういうこと話せる人もいたんで。うーん、やっぱそういうなんか縁の下の力持ちっていうのは割と自分の中のキーワードになってる。

ーなるほどね。もろもろそのやってる、忙しくやってる期間もどっちかというとそういう役割が多かった。それとも色んな役割をやってく中で、自分に合ってるていうか自分が目指したいのはこれだなって思うようになっていった。

そうですね。やっぱいろいろやるのはいいですけど、結局、いろいろやる中で自分の中で一貫した、ある意味なんか哲学みたいなのがないなって思って、やっぱやればいいってもんでもなくて、やっぱり自分の中でこういう風にしたいとか、こういう風になんか目標にしたいとか、なんか芯みたいのものがちょっと弱いなって思って、ていうのもあるんですいろいろやってきた中で。

で、特になんか、TEDxやってた時に、インタビューしてたなんか東大の先生は、まあリーダーはスキル云々とかていうよりは方向性を示すというかそういうリーダーに求められてるのは哲学だからって言われて。で、かたや山中さんは、まあインタビューのときでもTwitterでもよく言ってますけど、例えばリーダーは絶対的にみんなを引っ張ってくっていうそういうキラキラしたタイプとこいつは私たちがついていないとダメだなって思わせるやつみたいなとかって言ってて。
なんかこう、まあ組織の中で、ある程度、まあ全体じゃないんですけど、ちっちゃいチームでも何でも少しリーダーとかもいろいろやってて、そういう哲学みたいなのってないかなあ、なんなんだろうなあって思って、自分が貫きたいものってなんなんだろうなあって、そういう流れですね。


ーうーんなるほどね。その考え方とかってのをうまく表してくれてるのがこいつっていう。

こいつなんじゃないかなって思ってこれを選びました。


ーじゃあ次は、今度夢。自分がやりたいこととか。今こうありたいみたいなこと言ってくれたから、そういうのでも。なんか今、それのために頑張ってるとか、ちょっと先のことで夢で、やりたいこと成し遂げたいことがあったら話してほしい。

そうっすねえ。なんかまあいろいろ悩んで、なんかいまほんとにそこらへんがよくわからなくて悩んでていたんですけど。
具体的なこの業界でっていうのが全然考えられなくて。ただなんとなくさいきんもやもやって思ってるのは、なんかまあこれは研究会の先生とかとちょっと話してる中ですこし気づかされたことなんですけど。なんか木を見てなんか森を見ないみたいな言葉あるじゃないですか、森を見て木を見ないみたいな。君は木を作ることよりなんか森を語る方の人だよねみたいなこと言われて。


で、なにかこう、けっこう僕は文脈割りと頭固いんで、頭でかっちなところもあるので、何か新しいこと始める時に、なんかすぐ取りかかるっていうか、まず今までの流れどうだったんだろうって文脈を読んで、そっから新しいことをするっていうのがどういうストーリーになるんだろうって、そういうストーリーを考えるのがけっこう好きなんですよ。
なので、やっぱりあるトピックに対してそれが始まったのがなんなのかとか、今それで大御所って言われればどういうポジションなのかとか、異端児みたいなのはなんなのかとかって、そうやってどんどん物語をたどっていったりってところからなんか新しい展開ってなにかなって発想で、そういう何事にもそういうストーリーみたいなのをなんか俯瞰して考えられるようなポジションにいたいなって思ってて。


多分それって、じゃあそれをどの場所にどのフィールドに落としこうもうかっていうのを、がなんかよくわからないんですよ。研究会でも結局そんな技術的なところでギークになんかごりごり作ってるというよりは、けっこう僕はデモは少なめでそういう今までこういう流れがあったから、こういうのがあったら価値があるんじゃないかなっていう、ずっとそういうストーリーを語る部分が多くて、まあ先生にそれでいいよって言われたからまあそんな感じなんですけど。
だからまあ、こういう風にありたいっていうのはまあ、もわもわとしたところはそういうところで。業界、まあそれは研究会とかを通して、まあちょっとずつそういう風に、そういうものは考える場所は持つようにしてるんですけど。

あとはなんだろうなあ。なんかあと今の研究会入った理由として、なんか、こう、なんて言うんだろうな、流行りものに迎合するのが嫌になって割と。なのでなんか流行りとは違った、違うところでちゃんと自分のやりたいことみたいなのちゃんと向き合うていう生き方、すごくそういうなんか考える時間を持ちたいなって思っていて。


で、結局、なんか媚びるのが割と癖なので、ちょっと、それも結局いろいろやっていく中で、自分の哲学が、自分は哲学がないなっていうそにも繋がるんですけど。まあ研究会ではよくお前の媚びた写真とかネタにされるんですけど、媚びたプレゼンとか言われて。まあ割と今いる研究会は逆に媚びない集団なんで。
割と僕はなんかまあなんなのかなあ、ただやっぱり研究会とかの中でやや相手に合わせることを優先しすぎちゃうことがあって、じゃあ結局お前何したいんだろう、お前何したいのって自分に投げかけることよくあるんですよ。

だからまあ媚びない人間になりたいなあってのもあって、まあこれはあんまり人には言ってないんですけど、だから結局自分、逆に少なくとも他の人のことなんて気にせずにまあ学生なんで好き勝手やろうって思って、この春学期はとことんわがままにやろうって、今まで以上にわがままにやろうって思って、一区切りついたってことでサークルにもほとんど行かずに、練習にほとんど行かずに、バイト、新しく始めたバイトの方に時間割いたり、研究会に入り浸ったりっていうなんかいろいろ試行錯誤してちょっと生活を変えたりはしてるんですけど。
ただどうしてもやっぱ発表の時になっちゃうと、やっぱりいわゆるみんながキレイだと思うものを作ってしまうだとか、まあスライドとかそうなんですけど、とかっていう風になってく過程とかも、例えばいわゆる論文とかって、論文ていうかまあ端的なこう説得の仕方って、まあ最初にメインコンテンツを一言のセンテンスでパンって言って、なぜかとか誰がとかどこでとかってどんどん5w1hとかでつなげていく、補足していくっていう、割と僕はそういう道筋で説明したりすることが発表とかでも多いんですけど。


なんかでももっとそういう論理的になにかするっていうよりは、もうちょっと僕はこれを伝えたいんだていうこういうなんか世界観だとかていうものをもっと伝えられるていうかそういうところにこだわれる、媚びずにそういう、なりたいって思っていて。それも結局自分の中に、まあ世界観て一つの哲学だと思うんですけど、そうですねそういうのを表現したい、そういうのをもっと大事にできる人になりたいなとは思ってますね。


ー今聞いててこいつのその生き方と、媚びないっていうのけっこう矛盾するとこがある。なんかこれってこの生き方って集団の中で見えないところで集団のために動くとかそういうのができるっていうのと、媚びないで自分のやりたいことをばってやりたいっていうその気持ちってけっこう、矛盾だったり葛藤してんのかな。

そうかもしれないですね。


うんいや多分、そうですね。


ーそれを上手くこうバランスよくやってきたいみたいなのが目指すべきとこなのかな。

それはあると思いますね。あると思います。本当は、本当は多分こっちがメインだと思うんですよ、僕の人間性としては。
ただやっぱりこうそういう媚びない人たちを見てて、そういう表現者、要はアーティストですよね。最近そういう人たちを目の当たりにすることがすごく多くて、まあそれこそ前の研究会の友だちに紹介してもらった人とか、例えばあとは友だちの友だちとかかな、とかあの子もそういうアートの方とか友だち多いし。まあ今の研究会の人とかもそうだし、まあ大学教授だってそんな人たちばっかだし、ていうのを見ていて、ああなんかこういう人たちが、こういう人たちもいるんだってのは割と大学入って一番の気づきかもしれないんですけど。まあ先輩とかもそうなんですけど、まあ先生とかもそうなんですけど。
うんそういう人たちが持ってるエネルギーとかパッションとか表現意欲みたいなのはすごいなって思っていて。こっち側にいる僕がまあ近づこうとしてるのかもしれないですね、無理して。


ー要はこれをなくしたくない、ていうかこの生き様を持っていたい。

うん、そうですね。どっちやねんって。僕捨てられない人間なんですよどっちかというと。


ーすごいでもそれって難しいことだと思うよ。これでこのなんつうんだろう、その集団の中で動けるっていう気持ちを持ってない人は持ってない人でさ、どっかで苦労してると思うから。それも同じ葛藤を持ってる人もいるだろうし、そういう風に表現したい素直にね、できる人はすごいと思うし、エネルギッシュだし。だけど逆もしかりで思ってる。それは無い物ねだりなところが人間あるから。でもその、なんだろう、バランスを目指したいのかな。

うーんそうですね。その接点がどこなのかってのはちょっとよくわからないですけど。でもまた、結局その自分の中で割とこうもやもや考える中で、全然終着地点が見えてない中で、まあ結局考えててもしょうがないからまあ結局新しいなんかフィールドで実践するしか見えてこないのかなと思いつつ、それだったらまたこれまでと繰り返しなのかなみたいなところで、結局割とこの春学期はもやもやとやることが多かったですね。


ー難しいねえ。それはね、相反するとこのど真ん中に行きたいっていうね。まあそれができるとリーダーなのかもね。全体のことが見れて動けて、だけど自分の言いたいことは貫き通すみたいな。

かもしれないです。
で、なんかこう、部分と全体、さっきの木と森じゃないですけど。なんかこう単体だと思われることをちゃんと自分の中でフィードバックしてこう一部として見れることは大事だなって思って。で、ある意味それってハイブリッドな考え方だと思うんですけどね。
なんかそう一つのことに染まりすぎないなんかこう柔軟性は持っていたいってのはありますよね。
まあ友人にはそれは器用貧乏になって終わるよお前って言われました。


ーなんだろうね。そしたらこれはやっぱこの写真ていうのは、自分の本質というか、持ってるものであり、これからも大事にしたいものなんだけど、それとは逆のものも得たいみたいな。

そうですね。まだこれは片面しか示してないものかもしれないですね。
うーん、だから行動なくして何も始まらないんだろうなって思って。
だから6月くらいが、一番自分の中で、5月6月くらいか、が一番自分の中で、割と、なんか、これはその友人くらいにしか言ってないんですけど、この6月くらいが今までの大学生活の中で一番ちょっと割と、落ちこんでいて、まあこういうことを考えるようになっていて。
ただ一方で、こんだけ考えるってことは、なんか暇なんだなあって。
みたいなところで、考えることとそれを実践することのバランスみたいなことで最近悩んでいます。


ーなんか言い残したこととかない。大丈夫。

まあ一言で言うとミーハーな自分を変えたいってことですね。
ミーハーなのわかってるのに、ミーハーじゃないように振る舞おうとしてる無理な感じなんですよ今。
中間地点見つからずのわたくしです。



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