匿名希望(25)

ーでは、なんで、その写真を大切なものの写真として選んだかっていうところから教えてください。

えっとまあ、これは、その、今の自分の、まあ、核っていうか、ん、まあそういうこと。自分の核となっているものかなって思うのがこれだから。


ーどういうところでそう。

えっとね、それ話したら長くなるんやけど。


うん。まあ、これ一応下にノートがあるんだけど、このノートっていうのが、まあこれそのままじゃないんだけど、まあ高校のときの、まあ物理のノートっていうのが僕はすごい、まあ自分の心の中で大事にしていて。
まあ、今これは現物がなかったからそれの同じメーカーの物を、用意してるんやけど。


で、まあそうね、今大学で機械工学科に進学したんだけど。まあ機械工学科っていうのは、そのまあ四大力学っていうのがあって。まあその、力学を主にまあ専門として学ぶ所なんだけど。それ、そこに行くきっかけとなったのは、まあ高校の時の物理のおじいちゃんの先生の授業やって。
まあそれで、僕は一番力学が学問として一番おもしろいなと思ってたっていうのがあって、で、まあ進んだんだけど。
えーっとね、俺は大学で、まあ1年留年したんだけど、えー、3年生から4年生に上がる時。まあそん時に、もう大学っていうのが、なんやろ、ものすごい、僕にとってはその時はすごいつまらない場所だったわけです。
で、でもその留年して、もう、まあ、次の年になった時に、なんで俺って大学来たんやっけなみたいな、なに、っていうのを顧みた時があって。


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で、その時にああそういえば、これ見ながら、そういえば俺高校の時物理の授業めっちゃ好きやったやんというのを思い出して。で、そん時に、ああそうえいえばノートとってたなと思ってそん時。で、まあその物理のノートを、何年ぶりかに見返した時に、うわー懐かしい、俺これめっちゃ好きやったって思って。
ああ、そうや俺は力学めっちゃ好きで入ってきたんやなって思って。で、そっから、なんやろ、なんか思い出したように、こう、ああ俺やっぱ力学でこれからやっていこうって思って。で、まあすごい、そっから、なんやろ、人が変わったようにっていうかそんな感じで、まあ勉強し始めたんだけど。


で、なんやろうな、で、まあそういう意味で僕は、一番、力学っていうのを、なんて言うんだろうな、大切にしてるっていうか、自分をなんて言うんかな、変えたじゃないけど、基礎になってるものであって、かつ、まあ自分がダメになった時に、それをもう一回呼び起こしてくれたものっていう意味で、僕は力学っていう学問も含めて、まあ大事にしてるっていうのはあるかな。そんな感じ。


ーどうして力学が好きになったんですかね、高校生の時。

そうその、教えてくれた、その先生が、まあおじいちゃんの先生なんやけど、もうものすごく、なんて言うか、物理っていう学問について、なんやろうな。
すごい楽しそうに、こんなに物理って楽しいんだよみたいな感じで、人に興味を、僕にとってはすごい興味を惹かれるような授業してて。
で、まあなんていうか、この、この世の全ての現象、あの、現象は、力学、例えば ma=F っていう、まあ有名な運動方程式があるんだけど、それで全てが表せるんだ。それ初めて聞いた時、うお、これすごい学問じゃないかみたいな、その幼いながら思って。
うーん、そういうところかな多分。好きになり始めたって。


ーなんか物理、その自分の核になってるってところで、まあ好きっていうのと核っていうのとまたちょっと違うと思うんですけど。

うーん。まあもともとは核だとか全く考えてなくて、まあ好きってとこから始まったんだけど。なんやろうな。
例えば、今、なんだろうなあ。
何か自分が得意なことあるかとか、何が専門性、専門として何がわかるかって聞かれた時に、うーん、なんやろ心の支えじゃないけど、ああ俺はこれ、他のことはわかんないけど、これ、力学については、まあある程度は他の人よりはわかるよみたいな。
なんかこれ、力学のことなら、まあ、なんやろ、うーん、ある程度何を聞かれても、もうそれほどひるむことはないという意味で、なんやろ、心の支え的なところはあるんかな。まあちょっと表現がよくわかんないけど。


ーこう自信を持って自分がアウトプットするためのツールっていうか技みたいなイメージなんですか。

ああ、まあ、確かにそれもあると思う。なんやろ、例えば、ものつくるってなった時に、多分アプローチの仕方って、例えば、まあ見た目的なところから入るのか、機能的なところから入るのかってあると思うんやけど。まあ、そん中でも、なんやろ、そういうの考えるときに、絶対基礎としてこういう性能、こういう強度がいるっていうのあると思うんやけど、まあ自分は力学がある程度わかるから。
そっからなんやろ、そういう計算とかから、その、形とかものの仕様を決めることができるっていう意味で、まあツールとしての意味もあるかな。
うん。


ーこう、自分の核になってるっていうのは、考え方とかの基礎になってるみたいな。

ああ、まあ、それもあると思う。なんかたとえば、なんか一つの現象を見た時に、そのアプローチの仕方が、ああ力学的に考えたらこうだなあみたいな。そういう意味で考え方の基礎にはなってると思う。
癖でよく、これはバネとダンパーが繋がってる動きだなあとか。そういう。


ー今、感じたのは、これでやっていこうみたいな、そういう意味で核っていう表現なのかなと。

うーん。まあこれ、力学だけでっていうのは、まあ絶対無理なんで。
例えば僕は、まあものつくり、日本の製造業の一員として働きたいっていうのはあるんだけど。まあ、それをやるための、なんやろ、自分の専門分野じゃないけど、俺にはこれがあるから、これを使ってやっていくんやみたいな意味かな。
そういう、だからこれだけでって意味ではないけど。


ーこれが一番大きい。
うん。


ーで、宝物、自分にとって大切なもの。

うん、これがなかったら俺は、他に何ができるかって言われたら、
ちょっと、答えに困る。


ー自分がこう、社会に貢献するとかじゃないですけど、こうなんか働きかけるとかアウトプット出してくため。

うん、絶対必要だと僕は思ってる。


ーじゃあ次はその自分の夢について。

夢。


ーやりたいこととか成し遂げたいこと、目標とか、その写真に関係なくてもいいです。自分が素直にこう思ってる。

まあ夢。まあ、ざっくり、これ、これだってはっきりしたのはまだないんだけど。
でもまあ、ざっくりしたところでいうとやっぱりうーんメーカー、日本のメーカーで働くっていうのはずっと決めてて、就活の時に。でまあ、なんやろ、すごい僕日本好きで。で、だから今日本のものつくりが、特に電機業界、ダメになってっていう風に、まあ言われててっていうかまあ実際そうで。
で、まあそれを、うーん、これから新しい、なんやろ、フェーズに入っていく上で、自分はその力になりたいっていうか、日本のものつくりをまあ引っ張っていけるような存在になりたいっていうのはまあ漠然としてある。夢というか方向性みたいな。


ーそれはどうしてそういう風に思うようになったんですか。

うーんと、まあそれはちょっとさっきの話に戻るんやけど。
ちょうど自分がその留年してた時期に、あの日本の電機業界が、落ち目になってた時期で。で、まあそういう中で、工学部とかの子も、もう電機終わりやみたいな声がちらほら聞こえるようになって。
いやそうじゃないやんみたいな。今ダメになったっていうのは、そのなんて言うんだろう。今ダメになったけど、そっからどう立て直していって、やっていくのかっていうのが今の学生である僕らが考えるべきことなんじゃないのってそん時思って。
で、まあさっきの、なんやろう、話にもあったけど、その、まあもう一回力学ちゃんと勉強しようって思ってたっていう時期と重なって。
ああじゃあ自分に、まあできることっていうか、やるべきことは、その日本のものつくりを、えー、やっていくことなんじゃないかなってそん時すごい思って、まあ今もずっとって感じ。


ーじゃあ大学その、留年した時っていうのは、どうしたんだろうっていうのが自分の中にあって、そこでこう、なんで大学行ってんだろうっていうのを気づかせてくれたと同時に、夢もそこから持つようになった。

そうそうそう。うん。そこで、まあ繋がったっていうのは。


ーじゃあけっこう、大学3年生の時、自分の中のターニングポイントなんじゃないですか。

ああ、完全にそうかな。


ーで、まあその夢に、メーカーの一員としてっていうところで、自分の武器として主に使っていくのがその力学。

そう、そういうこと。


ーストレートですね。
なんか言い残したことじゃないですけど、ありますか他に言っときたいこと。

言い残したこと。
いやもう全部言ったかな。なんか質問ない。


ーこれは今でも、こう思い返すんですか。ものとしてないじゃないですか。

まあこの教科書は、まあ今も持ってるけど。うーん、ノートは、うん、今も、引っ越す時になんか手違いで捨ててしまったみたいで、ちょっとショック受けてるんやけど。
まあでもその中に、どんなことが書いてあったかっていうのはもう今でも、けっこうはっきり覚えていて。だから、そういう意味では、そのもの自体はもうないけど、まあその自分の心の支えになってるっていう意味ではまああると思ってもいいのかな。




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